スプリングエフェメラルとは、学術上の明確な区分や取り上げはないのですが、春先のみに咲く「はかない命」を持つ花のことを指すことばです。
春の妖精と呼ばれることもあります。
北海道で代表されるのは、フクジュソウ、カタクリ、エンゴサクなどがありますし、
九州ではムラサキケマンなどがあります。
なぜ、このスプリングエフェメラルに注目をするのでしょうか?
早春にいち早く、紫外線の強い春に1度だけ咲き、開花後は栄養貯蔵器官や種子のために生長すること、何よりも、大きな開拓や表土の取りさらいがない、古くから残された地帯に咲くことそのものが貴重であるといえます。
開花するまでに、長い年月を有することも特徴のひとつです。
早春のわずかな期間に咲き、虫を介して受粉(虫媒花と呼びます)するため、早春のわずかな虫たちと特別な関係があるのでは?とかんがえられています。
フクジュソウ
北海道から九州に咲きます。
早春一番に咲くため、元日草とも呼ばれます。
北海道では雪解けと同時、3月下旬に開花します。
カタクリ
全国で4~5月に開花。
開花するまでには7~8年かかると云われています。
むかしは片栗粉として食用にされていました。
アリやハチとの関係が研究されています。
日本各地の群落地は、ところにより天然記念物にも指定されています。
エゾエンゴサク
北海道~東北地方に咲きます。
4~5月に開花。
アイヌ語では「トマ」とも呼ばれ食用になります。
蝦夷延胡索と書きます。
ニリンソウ
全国で3~6月に開花します。
別名フクベラ・ガショウソウ。
有毒なトリカブトに似るため、食用には注意が必要です。
ヒトリシズカ
一人静。
かつては「吉野静」
スプリングエフェメラルに含まれるのかわかりませんが、春の花です。
ムラサキケマン
日本全国で4~6月に開花します。
毒草です。
帰化植物のカラクサケマンにもやや似ています。
サツマイナモリ
関東から西日本に分布し、九州では3~4月に開花します。
サツマとは薩摩地方(鹿児島県)を指しています。
オオバナノエンレイソウ
スプリングエフェメラルに含まれるのかわかりませんが、北海道の土地開拓がない地帯で見られます。
様々なエンレイソウ類があり、延齢草と書きます。
北海道大学の校章にもなっています。
アリとの特異な関係が見られます。
東日本や北日本の春の訪れに咲く花。
この白い部分は、じっさいには花ではなく、葉が変化したもの。
仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれるものです。
「夏の思い出」(作詞:江間章子、作曲:中田喜直)で歌われていますが、じっさいに尾瀬沼でミズバショウが咲くのは5月末ごろで、これは尾瀬の季節でいうと春先にあたるものの、江間さんはミズバショウが夏の季語として歳時記に掲載されていることから夏と表現されたと云われています。
各地に群落があり、網走湖周辺ではおよそ50haで日本最大級とされており、4月下旬から見頃を迎えます。
北海道地方のアイヌ語では「幅の広い葉」を意味するパラキナ。
世界的な分布や特徴をみると、白いのは、日本のみだそうです。
これらの春に咲く花は、日本では、とくに雪国の人たちにとって、長く暗く寒い冬を乗り越えて出会うため、愛おしく、よろこびに感じたりする心がうまれるように思います。
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